尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)
とは
尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)とは皮膚の表面の細胞が過剰に増殖することで銀白色の皮膚の粉(鱗屑)が付着した赤い皮疹が全身に生じる疾患。
尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)
の症状
境界明瞭な紅色局面または紅色丘疹で、銀白色の厚い鱗屑を付着。機械的刺激(外傷、日光照射、摩擦刺激、予防接種など)を受けやすい肘、膝、頭部、臀部に好発する。皮疹は乾燥し、軽度のかゆみを伴うことがある。その他、爪の肥厚、剥離、点状陥凹を伴うことがある。
*ケブネル現象:皮疹が無い部位に機械的刺激が加わると刺激を受けた部位にも同様の皮疹の発症を見る現象。
*アウスピッツ現象・・・尋常性乾癬では真皮乳頭が上行し、その部分の表皮が薄くなるため、厚い銀白色の鱗屑を剥すと毛細血管が露出して点状の出血がみられる。
尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)
の原因
発症には、(1)遺伝的素因(2)環境因子(3)免疫学的要因が加わっているとされる。
(1)常染色体不規則優性遺伝。HLAーB13,B16,B17,BW39,CW6,CW7CW11,DRW7等が出現する。
(2)日光などの光線、気候(冬季に増悪傾向)、細菌感染(溶連菌)。
(3)表皮のchemotaxisの亢進によるモンローの微小膿瘍およびKogojの海綿状膿疱、乾癬表皮に免疫グロブリン、補体、抗IgG因子、抗角層抗体、抗核抗体の存在。Tリンパ球系の障害。
病理所見では
(1)錯角化を伴った過角化。(不全角化)
(2)角層下層の多核白血球からなる微小膿瘍(Munro’microabscess)
(3)顆粒層の欠損と有棘層の肥厚
(4)基底細胞層またはその直情層の細胞分裂像の増加
(5)真皮乳頭層の浮腫と上方への突出。
(6)真皮上層の毛細血管の拡張とその周囲のリンパ球を主体とした細胞浸潤。
**(1)はターンオーバーが亢進しているため起こる。正常皮膚では28日のところを尋常性感染の皮膚は4日である。
日常の注意点
摩擦を避ける
(1)機械的刺激を(外傷、日光照射、摩擦刺激など)を避ける。
*摩擦刺激は入浴時の擦り洗い、衣服による摩擦刺激など。体動時、皮膚に硬い生地(デニムなど)が触れないようにする。ゆとりのある服を着る。
(2)糖尿病や心血管系疾患の合併が多く、それらも悪化させる要因になるのでそれらの経過観察、治療も重要である。